小腸・大腸の病気の前兆&病院の検査ガイド

小腸・大腸の病気の前兆(兆候・予兆・サイン)

 □便秘がちで腹部が張る感じがする(腹部膨満感)
 □便が細くなった(便柱狭少)
 □便に血が混じったり、コールタールのような真っ黒な便(タール便)がでる
 □食欲がなくなってきた
 □吐き気があり、食べたものを吐いてしまった
 □便臭のあるげっぷがでる
 □よく下痢をするようになった
 □便に鼻水のようなもの(粘液)がよく付着している
 □体重の減少がある(1ヶ月2〜3Kg以上)
 □発熱を伴って腹痛を起こす
 □少し歩いただけで動悸がし、息切れする
 □腹部に腫瘤(しこり)がある

小腸・大腸の病気の危険因子

●年齢
 □疾患によってさまざま
●他の疾患(すでにかかっている病気)
 □糖尿病、高血圧
●遺伝・既往症・体質
 □両親・親族に消化器系のがん患者が多い
 □両親・親族に消化器系ポリポーシス(ポリープが多発する症状)
 □胃がん・大腸がんの既往がある
 □虫垂切除術をしたことがある
●生活環境・習慣
 □動物性脂肪の多い食事を好む
 □緑黄色野菜が嫌いで食物繊維の摂取が少ない
 □食事が不規則で外食が多い

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主な病気の症状(小腸)

小腸結核

○原因
 腸結核は、結核菌が腸管内に移行し、リンパ濾胞(腸粘膜内のリンパ球の集合体)に取り込まれて発症することが多いです。 腸結核の初期の 病変は、粘膜下のリンパ濾胞内に結核結節を形成し、次いで壊死になり、潰瘍が形成されます。
○症状
 よく起るのは回腸(小腸のはじめの2/5が空腸、大腸までの3/5が回腸)下部および回盲部(小腸と大腸の境目)であり、症状としては腹痛、下痢、発熱、体重減少などです。

クローン病

○症状
 口腔から肛門にかけての全消化管に潰瘍やびらんをつくり、腸管の狭窄や難治性のろう孔(病的な管状部分を形成した場所)をきたす病気ですが 、回盲部に起ることが最も多く、大部分は小腸および大腸に病変をきたします。 症状としては腹痛、下痢、発熱を主体とし貧血、体重減少、腹部 腫瘤、低蛋白血症をきたします。 治療は絶食して腸管栄養や中心静脈栄養を行い腸管の安静を保ちます。 薬物療法としては、副腎皮質 ホルモンやSASP(サルファ剤)が用いられています。

小腸ポリープ(良性腫瘍)

○症状
●脂肪腫
 回腸末端部に多く、大部分が単発性で粘膜下層に発生します。 腫瘤が増大するにつれて腸重積症(腸壁がたたみこまれて重なった状態)の 発現が高くなり、この場合は腹痛、悪寒、嘔吐、下血などの症状があります。
●平滑筋腫
 空腸に多く発生し、管外性の発育を示すものが多く、腫瘤の大きいものほど悪性度が高いといえます。 症状は、出血、腹痛、腸閉塞などです。
●血管腫
 小腸の空腸上部と回腸末端部に多く、臨床症状は消化管出血とそれに伴う貧血です。
●ポイツ・イエガー症候群
 口唇、口腔粘膜、四肢末端の色素沈着と消化管全域へのポリポーシスの合併を伴います。 ポリープは小腸、大腸にほぼ同率に発生します。  男性にやや多く、10歳半ばで発症することが多くあります。 症状は腹痛、嘔吐、下血で、腸重積が最も重要な合併症です。
●クロンハイト・カナダ症候群
 消化管ポリープは胃、小腸、大腸に存在します。 脱毛、味覚異常、皮膚色素沈着、つめの萎縮脱落の症状があり、著名な低蛋白血症を伴い 浮腫や腹水をきたします。

小腸悪性腫瘍

○症状
 腺がん、カルチノイド、平滑筋肉腫、悪性リンパ腫の順に多く発生します。 腺がんは十二指腸、空腸上部、回腸末端部に多く、症状としては 腹痛が最も多く、小腸の部位により上腹部痛、下腹部痛をきたします。 ついで悪心、嘔吐、腹部膨満感、下血を生じます。 小腸の悪性腫瘍の 術前診断は困難であり、術前の診断名としては、腸閉塞、回盲部腫瘍、腸重積などとなっています。

イレウス(腸閉塞)

○原因
 腸の内容物がなんらかの原因で通過しにくくなったり、まったく通過しない状態になることを腸閉塞といいます。
 腸管が他の腸や腹膜と癒着して起こる癒着性イレウスは、腹部外傷、腹膜炎を起こした後や、とくに手術後に最も多く起こります。 腸管の屈折 やねじれが原因として最も多いとされています。 腸管が腸間膜とともに締め付けられて起こる締扼性(こうやくせい)イレウスは、回腸の一部が 小腸や大腸に癒着しひも状のもの(索状物)を形成して生じます。
○症状
 癒着性イレウスの症状は、腹痛、嘔吐、排便、排ガスの停止などですが、締扼性(こうやくせい)イレウスの症状は激しく、腹部の圧痛、発熱、 頻脈、白血球増多をきたします。

主な病気の症状(大腸)

大腸がん

○原因
 近年増加している大腸がんは結腸がんと直腸がんに分けられ、従来日本人には直腸がんが多く見られましたが、最近は結腸がんが著しく増加 しています。  大腸がんの原因は食事や腸内細菌との関連から研究されており、高脂肪食の摂取により胆汁酸の濃度が高まることが大腸がんの発生に関連 していると言われていますが、繊維の少ない食物の摂取によりこれらの発ガン因子の腸内停滞時間が延長し、さらに発がんが促進されると考え られています。
○症状
 大腸がんの症状としては血便や肛門出血、腹痛などがありますが、直腸・S状結腸のがんと深部の大腸がんでは症状の現れ方にやや差が見られます。  直腸・S状結腸がんでは下血や血便に気づきやすく、また腸管刺激による下痢、しぶり腹、便柱狭少(便が細い)をきたすことがあります。 大腸深部 のがんで多い症状は腹痛であり、その他に貧血、腹部腫瘤の触知、便秘、腹部膨満感などがあります。 治療は外科的治療が最も重要であり、 補助的に抗がん剤による治療や放射線療法などを行うことがあります。

大腸ポリープ

○症状
 大腸粘膜から発生した良性の腫瘍で、広義には炎症性ポリープなどの非腫瘍性のものも含んでいます。 症状としては血便や下痢、または便秘、 腹痛などがみられますが、無症状のものも少なくありません。 頸部にくびれがあるものでそれほど大きくないものに対しては、内視鏡を用いて 切除することが可能です。 大腸のポリープの中にはがん化するものもあり、ポリープの切除術を要します。

潰瘍性大腸炎

○原因
 大腸に潰瘍やびらんをきたす原因不明の疾患ですが、免疫異常や腸内細菌の関与などの面から原因が追究されています。
○症状
 下血、粘液便、腹痛、発熱などがみられます。 治療法はSASP(サルファ剤)や副腎皮質ホルモンの内服が中心となりますが、腸管の穿孔や 大量下血を起こした場合、頻回に再燃する場合は薬物療法によってもなおりにくく、外科的な治療を必要とします。

大腸憩室症

○症状
 大腸の壁が袋状に膨出して炎症を起こすもので(憩室炎)、下痢、発熱、下血などの症状をきたします。 大腸ポリープを合併することがあり、 大腸全体の検索が必要です。 治療としては消化のよい食事の摂取と抗生物質の投与が行われます。 頻回に憩室炎をきたす場合は外科的 治療を行うことがありますが、極力炎症の治まった時期に行います。

虚血性大腸炎

○原因
 大腸の血行障害に基づき発症すると考えられています。
○症状
 急激な腹痛、下血、下痢により発症することが特徴的です。 一般的には心・血管系の合併症を有することが多いといわれていますが、若年者 に起こることもあります。 腸管の血行動態の関連より、下行結腸やS状結腸に好発します。
 一過性の経過で終わるものと治癒した後に狭窄を残すもの、非常に重篤で緊急手術の必要のある壊疽型(えそがた)に分類されています。  壊疽型以外の場合は腸管を安静にすることにより軽快しますが、狭窄が著しい場合は手術を必要とします。

過敏性腸症候群

○原因
 身体的要因と心理的・精神的要因が関連しています。
○症状
 腸管の機能的な異常により下痢、便秘、あるいは交替制便通異常(下痢と便秘が交互に来る状態)をきたし、腹痛を伴う疾患で、腸管に 器質的な病変がみられない場合に診断されます。 その治療としては便通異常に応じた整腸剤と抗不安薬などが用いられます。

主な検査方法(小腸)

X線検査

○目的と内容
●腹部単純撮影
 腹部の異常ガス像や液体の貯留、結石の有無などについて簡便にしかも迅速に行える検査です。 とくに消化管の穿孔や腸閉塞などが疑われる 場合にはまず行われます。
●小腸造影法
 小腸のX線造影は胃の検査と同じく、造影剤(バリウム)の小腸での通過状態や粘膜構造をみるため、胃の透視検査に引き続いて行われます。 

内視鏡検査

○目的と内容
 小腸は解剖学的に口側からも肛門側からも最も遠くに位置し、加えて複雑な屈曲が存在することから内視鏡検査は困難でした。 しかし ファイバースコープの進歩により、この検査は比較的容易に行われるようになりました。
 挿入法とファイバースコープの機種の相違によって、プッシュ法、ゾンデ法、ロープウェイ法に分かれます。

小腸機能検査

○目的と内容
 摂取した栄養分を消化・吸収する機能が小腸で正常に働いているかどうかをみる検査です。
●ブドウ糖負荷試験
 早朝空腹時にブドウ糖を経口投与した後、一定時間に採血し血糖値を測定します。 投与前値より25mg/dl以下の上昇を異常値としており、 異常と認められた場合は小腸での吸収障害が示唆されます。
●ディキシロース試験
 早朝空腹時にディキシロースを経口投与し、一定時間後、尿中のディキシロース排泄量を測定します。 ディキシロースを25g投与した場合 尿中排泄率20〜30%を正常値とします。
●乳糖負荷試験
 乳糖を経口投与した後血糖値を測定します。 血糖値が投与前値に比べ20mg/dl以上上昇した場合を正常とします。
●糞便検査
 試薬を用いて糞便中の脂肪の量を測定します。
●脂肪バランススタディ法
 脂肪摂取量と糞便中の脂肪排泄量を測定することにより、吸収量と吸収率を算出します。
●蛋白漏出試験
 血液と糞便中に蛋白がどの程度流出しているかをみる検査。 肝障害、蛋白漏出性胃腸症の診断法として有用です。
 

主な検査方法(大腸)

直腸指診

○目的と内容
 肛門や直腸内、およびその周辺の臓器の異常の有無について行われる検査で、外来で簡単に行うことができます。 とくに下血をみる場合には 必ず行う必要があります。
○具体的な方法と手順
 横向きに寝て、両膝を抱えて楽に呼吸します。 肛門部の観察後に、ゴム手袋ないし指サックにゼリーをつけ指で直腸内を触診します。

注腸X線検査

○目的と内容
 腸管壁は単純X線では検出できないため、肛門からチューブを挿入し、バリウムと空気を注入することにより腸管壁の凹凸をみる検査です。
○具体的な方法と手順
1.検査直前に浣腸を行います。
2.直腸指診にて直腸に狭窄がないことを確認した後に、造影用のチューブを挿入します。
3.バリウムを注入し、引き続き空気を注入してから、体位変換によりバリウムを深部大腸に移動していきます。 この際、排ガスはなるべく我慢します。

大腸内視鏡検査

○目的と内容
 肛門より内視鏡(大腸ファイバー)を挿入することにより腸管内を肉眼的に観察し、必要に応じて生検組織検査を行うものです。 検査だけでなく、 高周波を用いてポリープの切除や、止血など治療にも用いられています。 大腸ファイバーは、先端のレンズにより得られた画像を光ファイバーに より誘導し、体外で観察するものですが、最近は先端に超小型のカメラを装着し得られた画像を電気信号として取り出し、再び画像化して観察する 電子内視鏡が普及しています。 この検査は多少の痛みを伴いますが、大腸の精密検査には欠かすことのできない重要な検査です。



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