高齢者の病気の前兆&病院の検査ガイド

高齢者の病気の前兆(兆候・予兆・サイン)

 □呼んでも返事をしない。 自分の名前や日時がわからない(意識障害)
 □頭痛・めまいがする。 最近認知症状が出てきた
 □手足がしびれる。 半身に力が入らず、歩くことができない
 □手がふるえる。 表情が硬く、動作が緩慢になった
 □ときどき胸が痛んだり、重苦しい感じがある(胸痛・胸部不快感)
 □歩くと息切れがする。 夜間息苦しくなり目が覚める(呼吸困難・息切れ)
 □最近せきをすることが多くなった。 たんに血が混じる(せき・血痰)
 □食欲が低下し、やせてきた(食欲不振・体重減少)
 □食物がのどにつかえたり、胃がもたれたりし、時に嘔吐する
 □便秘または下痢をしやすくなり、便に血が混じる
 □最近、異常にのどが渇き、水をよく飲む
 □尿意を催しても排尿に時間がかかる。 尿の勢いがなくなった(排尿障害)
 □最近、腰や背中が痛む(腰背部痛)
 □歩き始めに膝が痛む(関節痛)
 □一定の距離を歩くと、決まって大腿外側部やふくらはぎが痛む

高齢者の病気の危険因子

●他の疾患(すでにかかっている病気)
 □高血圧、高脂血症
 □動脈硬化症
 □糖尿病
 □貧血
●遺伝・既往症・体質
 □身内に脳卒中、高血圧、がん、糖尿病のものがいる
 □肥満
 □高血圧、糖尿病を指摘されたことがある
●生活環境・習慣
 □毎日喫煙している
 □一日中家の中にいて、外出することが少ない

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脳(中枢神経)の病気と症状

パーキンソン病

○原因
 脳におけるドーパミン系とアセチルコリン系の活動のバランスがくずれ、ドーパミン系の活動が低下し、逆にアセチルコリン系の活動が優位になった 状態です。 原因不明の本態性のパーキンソン病のほか、脳炎後、脳動脈硬化、一酸化炭素中毒、マンガン中毒、脳腫瘍などが原因として 知られています。
○症状
 50〜60歳代に多く、症状としては筋肉のこわばりと手のふるえ、および運動の過少がみられます。 麻痺はありませんが運動開始が緩慢で、 歩行中、方向転換がうまくできず、回れ右を行うことが困難になります。 治療として、脳内で減少しているドーパミンの前駆物質である L−ドーパや抗コリン剤が使用されます。

脳血管障害

○原因
 高齢者に最も多い病気の一つで、その主な原因は動脈硬化です。 高齢者の脳卒中は血液の流れが途絶え、そこから先にある組織の機能が なくなる脳梗塞が圧倒的に多く、60歳以降は死因となる広い範囲の梗塞が多くなる一方、臨床症状を示さない小梗塞も多くなります。
○症状
 意識障害、精神症状が出やすく、時に著しい記銘力(新しいことを覚える能力)の低下から認知症と誤診されることもあります。 また、心筋梗塞 に伴い、脳卒中を起こす場合もあります。(心脳卒中) 検査には頭部CT、MRI(核磁気共鳴)、脳血流シンチなどを行います。

老年痴呆

○原因
 変性性原発性の痴呆(アルツハイマー型老人痴呆)と脳血管性痴呆(認知症)に大別されます。 脳動脈硬化の程度の大きい例、小梗塞が 多発している例に痴呆(認知症)が多くみられます。 日付や自分の居場所が正確に言えない場合は痴呆(認知症)の疑いがあります。 記憶力 障害は古い事柄の記憶力は保たれていても、最近の出来事に対する記憶が損なわれ、また、計算力は低下しています。 痴呆(認知症)と まぎらわしい病気としてうつ病、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、甲状腺機能低下症などがあります。 長谷川式簡易知的機能検査スケールなどで 痴呆の程度をみるほか、頭部CT、MRI、脳血流シンチ、脳波などの検査を行います。
○症状
 

心血管系の病気と症状

高血圧

○原因
 高血圧の頻度は年齢が進むにつれて増加し、70歳代以上では40%を越すといわれています。 高齢者の高血圧は収縮期高血圧であり、 動脈硬化により血管の伸展性がなくなることが原因とされています。 高齢者の高血圧では心不全、脳卒中などの合併症をきたしやすいのも 特徴です。 胸部X線、心電図、心臓エコー、眼底写真、血液化学(血糖、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、リポ蛋白、 尿酸など)などの検査を行い、高血圧および動脈硬化の程度と症状を把握します。

うっ血性心不全

○原因
 高血圧、心筋梗塞、弁膜症などにより、心筋が障害され、心臓ポンプ機能の働きが弱くなった状態です。
○症状
 労作時呼吸困難、浮腫、起座呼吸(仰向けに寝ると呼吸困難が起きるため座位をとる状態)のほか、高齢者では立ちくらみ、めまいや悪心、 食欲不振、腹部膨満感など消化器症状のある例も少なくありません。 安静、減塩食、酸素吸入や利尿剤、強心剤、血管拡張剤の投与が 必要となります。 検査には胸部X線、心電図、心臓エコー、中心静脈圧測定、スワンガンツカテーテルによる肺動脈・肺毛細血管圧測定など を行います。

大動脈瘤

○原因
 動脈硬化性大動脈瘤と解離性大動脈瘤とがあります。 動脈硬化性大動脈瘤は腹部に多く、動脈硬化のため血管壁がもろくなり、外側に 膨れていくものです。 解離性大動脈瘤は胸部大動脈によく起り、動脈壁に亀裂を生じ、その中に血液が入り込んでくる病気です。 心臓腔 の中で破れて急死することもあります。
○症状
 動脈硬化性大動脈瘤は内径が5cm以上になると破裂の危険性が大きくなります。 拍動性のかたまりをふれたり、腎臓、膀胱など他の臓器 を圧迫したりする場合もあります。 破裂すると激しい腰痛が起り、血圧は低下します。 治療は動脈瘤を切除し、人工血管をつくることです。  解離性大動脈瘤は激しい胸痛、背部痛を訴えます。 診断はCT検査、心臓エコー、腹部エコーで行われます。

呼吸器の病気と症状

肺炎

○原因
 高齢者の死因で感染症によるものの中で最も多いものです。 一般の他の病気に罹患している例が多く、脳卒中後など寝たきりの例では誤飲、 誤嚥などが原因になることもしばしばみられます。
○症状
 自覚症状としては発熱が最も多いのですが、微熱のことも多く、典型的な肺炎症状を呈さないことも少なくありません。 食欲不振、倦怠感、 軽度の意識障害、落ち着かない状態が主症状の場合もあり、注意が必要です。 診断には胸部X線、喀たん検査、白血球数、赤沈(赤血球 沈降速度)、CRPなどの検査が行われます。

肺がん

○症状
 高齢者の主な病気の一つで、年齢的にみると男女とも75〜79歳に最も多くみられます。 男性では扁平上皮がんが多く、ついで腺がん、 小細胞がんとなっています。 一方女性は腺がんが最も多く、扁平上皮がん、小細胞がんの順になっています。 いずれも年をとるにつれて 扁平上皮がんが多くなります。 症状はせき、血痰ですが、症状がなく他の病気の治療中にたまたま発見されることも少なくありません。  胸部X線、喀痰細胞診、胸部CT、気管支鏡検査などのけんさにより、がんの発生部位や進行度を調べる必要があります。

胃腸の病気と症状

胃潰瘍

○症状
 高齢者の潰瘍は胃の出口寄りには少なく、胃の中央からいの入り口にかけて多くなります。 また、大きく浅い潰瘍、いくつもの潰瘍のみられる ことも特徴とされています。 心窩部の痛みなどはふつうにみられる自覚症状が少なく、吐血、下血の起ってくる場合が多くあります。

胃がん

○症状
 高齢者の悪性腫瘍としてはいまなお、その頻度が高く、男性に多いようです。 がんが相当大きくなっても自覚症状の訴えのないものも多いのが 特徴です。 食欲不振、原因不明の体重減少、貧血のみられる場合には、胃がんが疑われます。

虚血性大腸炎

○原因
 腸間膜血管の血液の流れが悪くなって腸管の壁の酸素欠乏をきたし、粘膜の組織が死んで腸内細菌による炎症が加わることによりおこります。
○症状
 急激な下腹部痛と鮮やかな血液の色をした便(鮮血便)をきたすことがあります。

代謝系の病気と症状

糖尿病

○原因
 インスリンの働きが低下することにより血糖値が高くなる病気です。
○症状
 のどが渇き、お茶や水がやたらと欲しくなり、尿の回数が増え、一回の尿量も多くなります。 しかし、高齢者ではこれら自覚症状のみられない ものも少なくありません。 平素軽症であっても時に血糖が以上に高くなり、脱水が進み、昏睡を起こしてくることがあります。(非ケトン性高浸透圧 性昏睡) 糖尿病の診断のため尿糖、血糖の検査が行われますが、老年者では尿糖が出にくいことが特徴のひとつです。 放置すると血管や 神経の障害をきたし、長年の間に体の種々の器官に障害をもたらします。 とくに高齢者では発見時にすでに合併症の起こっている場合が 少なくありません。 検査には腹部超音波、腹部CTなどが用いられます。

甲状腺機能低下

○原因
 多くの場合、慢性甲状腺炎が原因です。
○症状
 寒がりで動作が緩慢で言葉数も少なく、意欲が見られません。 このため、痴呆(認知症)やうつ病と誤診されることがあります。

泌尿器の病気と症状

前立腺肥大症

○原因
 前立腺の内腺に発生した大きなかたまりが尿道を圧迫し、排尿障害をきたしてくる病気です。
○症状
 夜間の頻尿、排尿に時間がかかる、勢いよく尿が出ないなどの症状が多く、残尿感が多くなると尿路感染、水腎症さらには腎臓の機能が落ちて 尿毒症となります。 尿道撮影、排泄性腎盂造影、腎機能検査、超音波検査、前立腺生検などの検査が行われます。

骨・関節の病気と症状

骨粗しょう症

○原因
 骨をつくっている無機質のカルシウムおよび蛋白質のコラーゲンが少なくなり、骨がもろくなる病気です。 軽石のように軽く、形も変わりやすく なります。 老人や閉経後の女性に多くみられるほか、甲状腺機能亢進症、副腎皮質ホルモンの使用、長期の寝たきりが原因となります。
○症状
 症状としては腰背部痛が多く、脊髄の形が変わり、背骨が曲がったり、身長が低くなったりします。 治療としては蛋白同化ホルモン、女性 ホルモン、ビタミンD、カルシウムなどを用います。 腰背部痛が強いとき、骨折している場合はコルセットの使用、安静が必要ですが、それ以外 では適度の運動が勧められます。 検査には骨のX線、骨量測定(MD法、CT法、単一γ線吸収法、二重γ線吸収法)、血清アルカリフォス ファターゼ、Ca、P(血清、尿)、副甲状腺機能、甲状腺機能検査などを行います。

大腿骨(頸部)骨折

○症状
 女性に多く、70〜80歳にいちばん多くみられます。 大腿骨骨折では頸部、とくに内側骨折が多く、よく骨頭壊死を起こします。 じょく創や 尿路感染を合併し、長期の寝たきりの原因となります。 転倒して腰部、でん部、大腿上部の痛みを訴え、とくに起立や歩行ができない場合は、 この病気が疑われます。 検査としては大腿骨X線、骨シンチを行います。

その他の病気と症状

リウマチ性多発性筋痛症

○症状
 高齢者に多い病気の一つで頸から背中、肩あるいは腰から大腿部にかけて激しい痛みとこわばりが起り、日常生活が高度に制限される場合も 少なくありません。 時に微熱、体重減少、食欲不振もあり、通常、筋力の低下や関節の障害はみられません。 赤沈の非常に遅いのが診断上 重要とされ、少量の副腎皮質ステロイド剤が有効です。

主な検査方法

頭部CT(コンピュータ断層撮影)

○目的と内容
 コンピュータ断層撮影により、被験者に苦痛を与えることなく、容易に頭部の輪切り状の画像を得ることができます。 血管や血流の異常は 造影剤を用いて、病変部位の抽出、診断を行います。 脳血管障害、脳動脈硬化症、老年痴呆などの検査に有用です。

肺機能検査

○目的と内容
 肺機能が正常に働いているかをみる検査で、呼吸器系疾患の診断を目的として行います。 検査測定値は、体格、年齢の条件を加えて 求めます。

胸部X線検査

○目的と内容
 高血圧、うっ血性心不全などの心臓・血管系の疾患や肺炎、肺がんなどの呼吸器系疾患の診断に多く用いられる検査です。

腫瘍マーカー検査

○目的と内容
 悪性腫瘍で産生される腫瘍マーカーを用いて、がんや肝臓疾患の診断を行う検査です。



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