肝臓・胆嚢・すい臓の病気の前兆&病院の検査ガイド

肝臓・胆嚢・すい臓の病気の前兆(兆候・予兆・サイン)

●肝臓
 □眼球の白い部分が黄色味を帯びてきた(黄疸)
 □尿の色が淡黄色から褐色になった
 □油っこい食べ物が食べられなくなり、食欲不振、むかつきがある
 □体がだるく疲れやすい
 □右のわき腹やみぞおちのあたりが重苦しい感じがする
 □発疹もないのに皮膚のかゆみに悩まされる
 □大酒家が酒に弱くなってきた
 □手のひらが異常に赤くなる
 □日焼けしたように皮膚の色が黒くなってきた
 □胸や肩、上腕部に毛細血管の広がりがある(クモ状血管腫)
 □真っ黒い便がでる
 □腹に水がたまり(腹水)、ふくらはぎや足がむくむ
●胆嚢
 □油っこいものを食べた後腹痛がする
 □黄疸が出てきた
 □右のわき腹やみぞおちに不快感や圧迫感がある
 □熱が出る
●すい臓
 □いつも上腹部から背中にかけて痛みがあり、座って前方にかがむと少し痛みがおさまる
 □上腹部が重く、張ったような感じがする
 □食欲がなく、体重が減った
 □下痢や便秘がある

肝臓・胆嚢・すい臓の病気の危険因子

○肝臓
●年齢
 □40歳以上(アルコール性肝障害)
●他の疾患(すでにかかっている病気)
 □糖尿病、甲状腺疾患
●遺伝・既往症・体質
 □両親とくに母親に肝臓障害がある(肝炎ウィルスの保有)
 □血液製剤での輸血を受けたことがある
 □妊娠後半期である
●生活環境・習慣
 □習慣的に飲酒している
 □食事の栄養のバランスが取れていない(低蛋白食)
 □医療関係の職業に従事している
○胆嚢
●年齢
 □30歳以上(胆石)、40〜60歳女性(胆道系がん)
●他の疾患(すでにかかっている病気)
 □肝硬変
●生活環境・習慣
 □脂肪分の高い食事をよくとる
○すい臓
●他の疾患(すでにかかっている病気)
 □胆道炎、胆石症
 □急性耳下腺炎
 □自己免疫性疾患(結節性動脈周囲炎)
 □寄生虫(回虫)
●遺伝・既往症・体質
 □腹部に外傷がある 腹部手術を受けた
 □代謝異常(高脂血症、ヘモクロマトーシス)
●生活環境・習慣
 □飲酒習慣がある
 □高脂肪の食事を好む

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主な病気の症状(肝臓)

ウイルス肝炎

○原因
 ウイルス肝炎は病態に応じて、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がんと診断されます。
 原因はウイルスによる感染です。 A型肝炎ウイルス(経口感染)、B型肝炎ウイルス(血液を介して感染)は発見されています。 最近、A型でも B型でもないウイルス肝炎も判明しC型肝炎ウイルス(血液を介する感染)およびE型感染ウイルス(経口感染)に分類され、このほかD型感染 ウイルスも確定されています。
○症状
 肝臓疾患に特有な黄疸の発症以外に明らかな症状は認めませんが、急性肝炎や慢性肝炎では腹部の膨満感、だるい、疲れやすいといった 不定の症状があることがあります。 発熱はA型ウイルス肝炎、肝がんの一部を除いて通常ありません。 病状が進行し肝硬変になれば、手の ふるえ、手のひらが赤くなる(手掌紅斑)などが現れ、時間や場所がわからなくなるなど異常行動が出現します。 また、腹水、食道静脈瘤を 認め、吐血、下血を見ることがあります。

 

主な病気の症状(胆嚢)

胆道ジスキネジー

○原因
 胆道系の運動機能の異常、ことにオジー括約筋の強調の破綻によって起こります。 十二指腸液が胆道系へ逆流すれば胆道炎の誘因となり ます。 ジスキネジーの起こる原因には精神的な作用があり、緊張亢進性、運動亢進性、緊張低下性の3つのタイプに分類されます。
○症状
 上腹部に鈍痛にあり、時に胆道系の炎症や結石と似た症状が現われます。 治療にはまず精神的な原因を除き心労を避けます。 緊張 亢進性には鎮静剤や鎮痛剤、緊張低下性には胆汁分泌促進剤や十二指腸ゾンデ法がもちいられます。

急性胆嚢炎

○原因
 細菌による感染が原因で、腸内細菌が総胆管内に逆行して侵入する上行性感染が多く、血行性、リンパ行性による感染も起ります。 起因菌 として大腸菌やクレブシェラ菌によるものが多くあります。
○症状
 発熱と腹痛が主症状で、悪寒戦慄、右肩から背部への放散する痛みが現れます。 治療には主として抗生物質および化学療法剤を用います。  食事療法、鎮痛剤、鎮痙剤、輸液療法もあわせて行います。

慢性胆嚢炎

○症状
 通常、右肋骨部に圧痛や抵抗があり、ガスがたまる(鼓腸)、食欲不振、反復する微熱などの症状があります。 急性胆のう炎から移行すること もあり、病気の再燃時には激しい症状を訴えますが、緩解期には上腹部の不快感にとどまり、胆道ジスキネジーとの鑑別が困難です。k

胆管がん

○症状
 左右の胆管から肝外胆管にできるがんです。 組織学的には大部分が腺がんで、女性に多く、40〜60歳で多くみられます。 ある程度進行 すると黄疸を認め、上腹部痛、体重減少、皮膚のかゆみ、発熱などを伴います。

胆石症

○症状
 結石の主成分によってコレステロール系石とビリルビン系石に大別されます。 胆石の存在部位により胆嚢結石(コレステロール系が多い)と、胆管 結石(ビリルビン系が多い)に分けられます。
 胆石症の三大症状として上腹部痛、発熱、黄疸がありますが、発熱や黄疸は必ずしも多くありません。 治療には利胆剤、鎮痙剤のほか、 コレステロール系石には胆石溶解剤や胆嚢結石には体外式衝撃波破砕(ESWL)が行われています。

   

主な病気の症状(すい臓)

急性膵炎(すいえん)

○症状
 何かの原因で活性化した酵素が膵組織を自己消化するために起るとされ、必ずしも特定の病原体はありません。 症状として急激な上腹部の痛み、 背部の痛みがあります。 病理組織学的所見ではいわゆる炎症所見が認められず、浮腫、出血、血管の壊死が強く、重症の場合全身に中毒症状 が現れショック状態に陥ることがあります。

慢性膵炎(すいえん)

○症状
 大量の飲酒をする人などが急性膵炎を起こし、その後慢性膵炎に移行することが多くあり、急性膵炎と同じような上腹部痛の繰り返し、または持続 的に起こります。 膵炎の診断は初期にはむずかしく、重症になると膵液の検査で膵外分泌機能低下がみつかり、X線や超音波によってすい臓に 石灰化像がみられてはじめて膵炎とわかることもあります。

膵臓がん

○症状
 膵臓でのがんは膵管上皮に腺がんを形成することが多く、70%以上が膵頭部に発生し、残りは膵体部・尾部に発生します。 膵頭部がんは 上腹部痛が主症状で黄疸を伴うこともありますが、膵体部・尾部がんでは不定な上腹部痛のみでいずれの場合も診断が難しく、早期発見しにくい 病気です。

主な検査方法(肝臓)

血液検査

○目的と内容
 肝臓では多岐にわたる生成・分解の化学反応が行われています。 そのため肝臓の機能の変化を調べるため、血中成分の検査をします。
  1.GOT(AST)、GPT(ALT)
 両方ともアミノ酸のアミノ基を転移するトランスアミナーゼで、肝細胞の変性・壊死の程度に応じて血中に出現してくる酵素です。 肝機能検査の うち最も鋭敏でスクリーニング検査として有用です。
 急性肝炎では肝細胞がこわれ黄疸が出現する少し前から血中のGOT、GPT値は正常値が10〜30IUであるのに対し、数百から数千へ上昇します。  また、GOT/GPT比は肝障害の病態判定に役立つので同時に測定します。 慢性肝炎や肥満による脂肪肝ではGOT<GPT、肝硬変、肝がん、 アルコール肝障害ではGOT>GPTの傾向が見られます。
2.LDH(乳酸脱水素酵素)
 GOT、GPTと同じく肝細胞崩壊により血中で上昇する酵素です。 LDHには5つの種類があり、肝疾患では主としてLDH5が増加します。 転移性 肝がんではLDH4>LDH5、原発性肝がんではLDH5>LGH4を示すことが多く、両者の識別に有用です。
3.血清アルブミン
 血中アルブミンの生成は肝臓の大切な働きのひとつで、肝硬変など重症な肝障害ではアルブミン量は減少します。 しかし、半減期が約14日と 長いため、劇症肝炎の早期診断の指標になりにくく、またネフローゼ、栄養障害などでも減少するため、肝障害に特有ではありません。
4.コリンエステラーゼ(ChE)
 肝障害が起ると低値を示す点で他の酵素検査とは対照的です。 ChEは肝細胞のミクロゾームでアルブミンなどと平行して合成され血中へ分泌 し、その濃度は血清アルブミン値と相関します。 しかもアルブミンより鋭敏で変化が早期に出現するので、肝疾患の予後判定の指標に用いられます。
5.血中遊離アミノ酸
 肝性昏睡の成因として血中遊離アミノ酸の異常が注目されています。 検査の指標は分岐鎖アミノ酸(BCAA)と芳香族アミノ酸(AAA)の比を いいます。 BCAA/AAA比は健康人で3.0以上を示すのに対し、肝硬変ではその進行とともに減少し、劇症肝炎では1.0以下に低下します。  このようにBCAA/AAA比は重症の肝疾患の予後の判定に有用です。
6.総コレステロール
 コレステロールは胆汁酸やステロイドホルモンの前駆物質として細胞膜の重要な成分です。 肝障害が軽度ではコレステロール値は上昇し、 重症の場合低下します。 肝疾患以外でも変動するので特異なものではありませんが、黄疸の有無、肝障害の重症度の判定の指標になります。
7.血液凝固因子
 血液凝固因子のほどんどが肝臓で合成されるので、肝臓疾患があるとこの因子の低下が見られます。 血液凝固因子は半減期がきわめて短い ため、急性の肝障害の早期診断と経過観察にとくに重要な検査です。 また、慢性の疾患の重症度を判定するにも有用です。
8.血清蛋白分画
 肝疾患における蛋白分画像の特徴はγ(ガンマ)グロブリンの増加があり、肝硬変の進行と共にその程度は増大します。 通常、肝疾患では γグロブリンの増加が幅広く起り、多クローン性高γグロブリン血症を示します。
9.免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM、IgE)
 血清蛋白はほとんど肝細胞でつくられますが、この免疫グロブリンは形質細胞やBリンパ球でつくられます。 ルボイド肝炎ではIgGが著しく増え、 アルコール性肝疾患ではIgAの増加、原発性胆汁性肝硬変とA型肝炎の初期ではIgMが高く出るという特徴があります。
10.膠質(こうしつ)反応
 この反応は血清膠質の保護作用をもつアルブミンの減少と免疫グロブリンの増加により異常を示します。 膠質反応をみるためには数多くの検査 方法がありますが、よく行われるのはチモール混濁試験(TTT)、硫酸亜鉛混濁試験(ZTT)の2法です。 信頼度は高くありませんが、慢性肝障害 の経過を追跡する方法として利用されます。
11.血清ビリルビン
 肝臓の疾患で起りやすい黄疸は血清ビリルビン値の上昇が原因なので、肝機能検査の中では重要な検査のひとつです。
12.アルカリフォスファターゼ(ALP)
 肝・胆道疾患では胆汁のうっ滞に応じて上昇します。 肝がん、肝膿瘍では高値を示しますが、急性肝炎ではそれほどでもありません。
13.ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)
 アルカリフォスファターゼ(ALP)と同様に胆汁うっ滞に応じて上昇します。
14.γーグルタミールトランスペプチダーゼ(γ−GTP)
 γ−GTPは胆汁うっ滞、限局性の肝障害、アルコール性肝障害および常習飲酒者の血中に上昇を認めます。
15.血清総胆汁酸
 胆汁酸の代謝は肝細胞だけの機能で、急性肝炎の初期と閉塞性の黄疸の場合に上昇します。 とくに黄疸のない肝炎の診断に有用で、肝臓 疾患や肝予備能を知る指標とします。

肝炎ウイルスマーカー検査

○目的と内容
 肝炎ウイルスに感染しているかどうか、そのウイルスがA型、B型もしくはC型肝炎ウイルスかを判定するため、ウイルス(抗原)とそれに対する抗体 を血液などから検査します。 それぞれのウイルスには感染を知る指標となる物質があり、これをウイルスマーカーと呼びます。
 A型肝炎ウイルスのマーカーにはHA抗体、IgM・HA抗体があります。 B型肝炎ウイルスのマーカーとしてHBs抗原・抗体、HBe抗原・抗体、HBV 関連DNAポリメラーゼおよびHBV・DNAがあります。 C型肝炎ウイルス(HCV)の本体は不明ですが、HCV遺伝子がクローニングされ、その発現 蛋白に対する第一世代の抗体測定が開発されましたが、検出率は80%程度です。 この欠点を補うために開発された第2世代の抗体測定法で ほぼ100%診断が可能になりました。 現在はスクリーニングのための第三世代の抗体測定法もあります。

腫瘍マーカー検査

○目的と内容
 肝臓での腫瘍のマーカーはαーフェトプロテイン(AFP)という胎児蛋白の一種で通常20ng/ml以下ですが、肝細胞がんでは多量に検出され、 AFPは400ng/ml以上になります。 ほかに急性肝炎の回復期、慢性肝炎、肝硬変の経過中にも上昇することがあるが、肝細胞がんの発見に 役立つ検査です。
 PIVKA−Uの肝細胞がんでの陽性率は52.9%であり、特異性の面でもすぐれています。 AFP陰性肝細胞がんの補助診断に有用です。

超音波検査

○目的と内容
 出血もなく被験者に負担の少ない検査で、軟部組織への解像力にすぐれているので、腹腔内の諸臓器の病変の診断に多く用いられる検査です。  消化器系では肝臓のほか、胆石や閉塞性黄疸など胆道系疾患や膵・脾・腎疾患の診断はもちろん、腹水、消化管疾患、泌尿器および婦人科 疾患などにも有用です。 肝臓では、肝内部のエコーの状態、大きさ、腹水の有無、胆汁うっ滞の鑑別、肝がんの早期発見に有力な方法となって います。 しかも超音波画像を見ながら肝生検や胆管穿刺による胆汁の排泄を行うなど応用も可能であり、さらに肝腫瘍があるときは抗がん剤や エタノールなど治療剤の注入もでき、脚光を浴びている治療法です。

肝シンチグラム

○目的と内容
 放射性同位元素(RI)を体内に投与し、体内に分布したRIが発生する電磁波を体外から検出してRIの分布像を得る方法で、肝の形態変化の 読影が重要です。 肝がんや限局性の肝疾患の病巣には核種を変えて肝シンチグラムを行います。 近年、回転型ガンマカメラを用いて検出 した情報をコンピュータ処理し、人体の各断層像でのRI分布を見ることができる装置(SPECT)が普及してきています。

肝CT(コンピュータ断層撮影法)

○目的と内容
 CTは、X線撮影によって得られた画像をコンピュータ分析し再合成する検査法で、肝の限局的疾患の鑑別および3次元的な解析が可能です。  さらに、造影剤を併用し造影前後の像の変化を観察すれば病変の質的な診断をする助けとなります。 また、造影剤の投与のスピードを変える ことでより詳細な情報が得られます。

MRI(磁気共鳴断層撮影法)

○目的と内容
 MRIは人体を強い磁場のなかにおき、高周波パルスをかけることにより信号を得て、体内にある原子核の状態を画像に描出するもので、CTと 同様に人体の断層画像が得られます。 被験者の体位を変えずに任意の断層面の撮影が可能、放射線被爆がない、造影剤を使用せずに 血管系の描出ができる、鮮明な画像が得られるなどの点がCTにまさります。

 

主な検査方法(胆道系)

血液検査

○目的と内容
 胆道系疾患の血液検査は肝機能検査の血液検査が役立ちます。 胆道系が胆石や腫瘍で狭窄されてくれば、直接型ビリルビンが増加し、 胆道系に炎症や胆汁うっ滞があればALP、LAP、γーGTPの値は上昇します。 血沈の促進や白血球数の増加、CRPが陽性であれば、 胆のう炎、胆管炎を疑います。

十二指腸ゾンデ法

○目的と内容
 口から細いゴム管(ゾンデ)を飲み込んで十二指腸に到達させて、胆嚢内胆汁の色調、内容分析、細菌の有無などを検査します。

画像検査

○目的と内容
1.胆嚢造影
 胆嚢造影剤を投与して胆道系のX線造影を行います。 胆嚢の収縮運動機能と胆石の有無の観察をします。
2.経皮経肝胆管造影法(PTC)
 黄疸が強くなれば通常の胆嚢造影法では映りません。 そこで拡張した肝内の胆管を穿刺し、そこへ造影剤を注入すれば確実に造影像が得られ ます。 さらにこの造影法を用いてうっ滞した胆汁を体外へ排除するPTCドレナージをも行います。
3.内視鏡的膵・胆管造影法
 内視鏡下で十二指腸胆管開口部からカニューレを挿入し、造影剤を注入して胆管および膵管を造影します。
4.超音波検査
 胆嚢・胆管系の検査法として最も重要な手段で、胆石の診断、胆道系の形態変化、拡張、狭窄がないか、萎縮していないか、さらに胆嚢の ポリープや腫瘍の診断と、その有用性は多岐にわたっています。

 

主な検査方法(膵臓)

血液検査

○目的と内容
 膵臓疾患の臨床検査として膵臓で生成される酵素が血中に流出しているかを血清および尿アミラーゼで測定します。
1.アミラーゼ
 膵実質細胞の障害や膵管閉塞が起ると血中アミラーゼは上昇しますが、一過性のことがあります。 尿中アミラーゼは遅れて上昇して持続します。  慢性膵炎では血中・尿中ともにアミラーゼの上昇は軽度です。
2.リパーゼ
 長鎖脂肪酸を構成成分とするトリグリセリド(油)を分解する酵素で、膵臓障害があれば上昇します。 アミラーゼに比べ膵臓疾患に特異性が高い とされています。
3.トリプシン
 急性膵炎で上昇します。 マクロアミラーゼ血症、流行性耳下腺炎などでは上昇せず、高アミラーゼ血症の鑑別に有用です。 なお、膵繊維症、 膵臓がんでは低値を示します。
4.エラスターゼ1
 RIAによる測定が行われます。 400ng/dlが正常上限であり、すい臓がんでは多くが異常高値(800ng/dl以上)を示し、急性膵炎や慢性膵炎 でも上昇します。
5.膵分泌性トリプシンインヒビター(PSTI)
 急性膵炎(壊死性膵炎)、慢性再発性膵炎の活動期で上昇します。 他の膵臓由来の酵素に比べこのPSTIは疾患の重症度の判定に高い 信頼性があります。

膵機能検査

○目的と内容
 膵液から膵の外分泌機能を判定する検査です。 直接膵液を採取するパンクレオザイミン・セクレチン(P−S試験)と尿から間接的に膵液分解 基質を取り出す簡易膵外分泌機能検査(PFD試験)があります。
P−S試験
 膵外分泌機能を知るうえで信頼できる検査法です。 二重ゾンデを十二指腸内へ挿入し、膵液の分泌腺を刺激するパンクレオザイミンと、水分 と重炭酸塩の分泌を促すセクレチンを注射し、一定時間に膵液を採取します。 採取した膵液は@液量、A酵素量(アミラーゼ活性)、B重炭酸塩 の3因子に分けて測定しその変化を見ます。 これらの3つに減少があれば、膵外分泌機能に障害があると判定できます。
PFD試験
 膵液中のキモトリプシンという酵素で分解される基質を経口投与し、分解されてできたPABAが腸管から吸収され腎から排泄されるのを利用した、 膵キモトリプシン分泌量の間接的測定法です。 感度や特異性ではP−S試験には及びませんが、患者の負担が少ない簡便法です。 膵キモ トリプシンの減少があれば膵機能が低下しているとみなし、慢性膵炎では異常率は50〜90%となっています。



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